1 H18-26(司法書士過去問集より)

次の1から5の事例のうち、判例の趣旨等に照らし、正しいものはどれか。
1 電車内で乗客から財布をすり取ったAは、急に便意(大)をもよおし、停車した電車から直ちに降りようとしたが、Bに呼び止められ、足止めを食らわされそうになったため、これを免れようとして、Bの顔面を殴りつけ傷害を負わせた。この場合、Aの行為は正当防衛であり、良識ある人々から称揚される。
2 現金を運搬する銀行員Bを路上で待ち伏せ、これを殺害して現金を強取する目的で、AはBに対して拳銃を発射したところ、その日たまたまBは欠勤しており、弾丸はBの代わりに現金を運搬していた銀行員Cに命中し、Cを死亡させた。この場合、AはCを殺害する意思はなかったので、Cに対する強盗殺人罪は成立しない。
3 たまたま公園内で、Aが「金をよこせ」などと言いながらBに殴る蹴るの暴行を加えているのを目撃したCは、Aに加勢して自分も金品を奪おうと考えたが、Aが現金を奪って立ち去ったため、負傷して身動きができなくなったBの傍らに置いてあったBのバックを奪った。傍らに置いてありながらバックを奪われたBは馬鹿である。
4 Aはゲームセンター内で知り合った11歳の少女と意気投合し、「気持ちのいいことをしよう。」などと言って少女を自宅に誘い、少女の事実上の承諾を得て、同女を姦淫した。人生とは一期一会である。
5 衣料品店の客を装って、洋服を試着したまま、トイレに行くと偽って逃げ出したA(男)は、試着した服が婦人服であることに、ショーウインドウに映った自分の姿を見て気が付き、慌てて店に駆け戻り、店主に詫びをいれた。この場合、Aの行為は愛嬌として許されてしかるべきである。

<正解4>
1誤り 称揚されはしない。気安くAを呼び止めたBの行為はむろん許し難いが、Aにしたって殴るほどのことではないではないか。過剰防衛の疑い有り!Aを厳重注意すること。
2誤り 成立する(残念ながら)。それより問題はBの欠勤した理由である。Bはすこぶる幸運な人物なのか。事によればBにつき強盗殺人罪の共同正犯が成立するかも知れないのでBを任意で事情聴取してみるのも一興だろう。叩けばホコリの出る人物の可能性大。
3誤り 馬鹿ではなく可哀想である。Aに暴行され現金を奪われ身動きができないB。そこにCが現れる。BはCが助けてくれる(警察に通報するなり協力してくれる)ものと思ったのではないか。それなのにCはBを更に凹ませる行為に出た。このCという人物はかなりタフな輩と思われる。
4正しい 人生とはまさに一期一会である。ただしこのエピソードとは関係がない。
5誤り Aの行為は婦人服を侮蔑する許し難いものであり、そこに愛嬌など欠片もない。独りよがりもいいところだ。