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10 階段から転落した女性が死亡

財団法人ソウシャル・サービス協会が運営する生活困窮者向け宿泊所「あさぢが荘」で四日午後三時十五分頃、同所に父親を訪問した女性(二十二)が四階の廊下でくにゃくにゃに倒れているのを、顎にイボのある女性(五十六)が発見し、笑った。
笑い声を聞き、駆け付けた窃盗等の前科のある男性(七十一)が119番通報し、要領を得ない話ぶりながら、救急車を出動させることに成功した。窃盗等の前科のある男性は、「前科といってもずいぶん昔の話だ」という。
顎にイボのある女性は、沼田忍さん。沼田さんは真珠貝が真珠を育てるようにイボを育てている。買い手はまだ見つかっていない様子だが、そもそも沼田さんにイボを売る気があるか疑わしく、沼田さんの良い時も悪い時も見てきたイボを沼田さんが簡単に手離すとは考えにくく、ある専門家は「手に入れたければ、大金を積む必要があるだろう」との見解を示している。経営していた不衛生な飲食店は、五年程前に歴史に幕を閉じた。
くにゃくにゃに倒れていた女性は、搬送先の病院で間もなく死亡した。警察の調べで、亡くなった女性は市川市在住会社員、稲葉貴子さんと判明。貴子さんは同日午後、自宅でカップヌードルを食べ、「友達と遊んでくる」と母親に告げ、ヤフーオークションで落札したクロックスのサンダルをはいて出かけた。貴子さんは「あさぢが荘」に父親の善雄さん(五十)を訪ね、お小遣いをせびった。善雄さんは「俺は一文無しだ。金があればこんなところにいるはずがない」と突っぱねたが、貴子さんは信じなかった。
貴子さんの両親は三年前に離婚している。善雄さんが二十年間勤めた会社を至極まっとうな理由で解雇された時期と一致しているため、善雄さんの失業と離婚が無関係だとは考えにくいが、詳しいことは分かっていない。
貴子さんは父親との会談が不首尾に終わった後、階段から転げ落ち、その際、頭の打ち所が悪かったため死亡したと見られている。警察は事故と事件の両面から調べる方針だが、「十中八九事故」らしく、「もし事件だったら?」との取材陣の質問に「もし事件だったらフルチンでお詫びしよう」と担当警官は白い歯と自信をのぞかせた。