読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

15 人気ラーメン店の店主を逮捕

栃木県は下都賀群の大平町富田にあるラーメン専門店「青頭巾」の店主・足立イサオ容疑者(五十六)が三十日、下都賀署に逮捕され、くさい飯を食うことが確実になったと、関係者の皆様を嘆かせている。
「青頭巾」は近所に勤め先(飯の種)のあるサラリーマン連中のみならず、OLどもが昼食時に行列をつくる人気店として、地元のテレビ・雑誌等に取り上げられることもしばしばで、舌に刺激を与えることを好む人々が遠方からわざわざ自家用車や公共の交通機関を利用して訪れ、ラーメンと鼻をすすると同時に誰もが気さくにトイレを貸す店主の人柄にささくれた心を癒してもらう、そんなアットホームな雰囲気の店だった。
足立容疑者の娘・シズコさん(十六)が今月三日から学校を休んでおり、学校側の問い合わせに対応する足立容疑者の応対に、不審を抱いた近所の地獄耳のオバさんが警察に通報したが、警察はこのオバさんを不審がり、すぐには動き出さなかった。
常連客の一人、NCCC(ニッポン・チャ・チャ・チャ)証券に勤める黒田一郎さん(三十二)、通称クロちゃんは、「確かに今月のはじめくらいから味に変化があった」と言う。ジャンケンの後出しのようで卑怯な気もするが、クロちゃんによれば「スープの味が若々しくなったと感じた」そうだ。クロちゃんはさらに「しかしそれは病み上がりの自分の舌のせいだと思い、誰にも言わなかった」と付け加え、賢明にも自己欺瞞との批判の噴出を未然に牽制する弁明をも怠らない抜かりなさを見せた。それ自体が自己欺瞞なのだが。とは言え自己欺瞞の意味は筆者自身よく分かっていないのだが。
「青頭巾」のライバル店の店主(匿名希望)は足立容疑者の奥さんが数年前に「実家に帰って」から「青頭巾」は急に人気が上昇したと回想する。そして何か面白い冗談でも思いついたかのように、フッと笑みを浮かべると、「それがまさか奥さんをスープのダシに使用していたとはね!」と外国人のような大袈裟なジェッシャーをつけて、負け惜しみ気味にあきれてみせた。
足立容疑者に接見した弁護士によると、足立容疑者は「カミさんは実家に帰ったのではなく、オレが食って、排泄したし、娘のシズコも、ちょうど食べ頃に見えたので、殺してオレが食った」と話し、スープのダシに使用した疑いについては「そんなことするはずがない」とプリプリしているという。
殺人の容疑は是認してもダシの件は否認する構えを貫く構えというわけだが、不思議なのは「青頭巾」で食事経験のある誰一人として、人間がスープのダシに使用された疑いが明るみになったというのに、不快感なり何なりを表明していない事実である。