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16 現金不正引き出し親子の手口

会津若松署は二十一日、他人のキャッシュカードを奪い不正に現金を引き出した疑いで無職の親子を逮捕した。逮捕されたのは母親の岡妙子容疑者(四十五)と息子の敏文容疑者(二十四)。両容疑者は容疑を認める供述をしている。
二人の供述によりその手口が明らかとなった。
そもそものはじまりは三年前の交通事故だった。妙子容疑者の夫であり敏文容疑者の父であった人物、故岡右門氏は磐越自動車道を走行中、単独事故を起こし死亡した。そして幽霊となり妻子の前に姿を現した。
生前から悪知恵が働く小悪党だった右門氏は幽霊になってもその本分を失わず、妻子と共謀して荒稼ぎする計画を立て、二人に持ちかけた。
計画は自身の幽霊としての特性を生かしたシンプルなものだった。幽霊はほとんどの人に見えず、見えたとしても見えない振りをするのがエチケットである。その特性を生かし、右門氏は幽霊として堂々とATMに入り、ATM利用者の暗証番号を盗み見る。右門氏がターゲットと暗証番号を妻子に伝え、敏文容疑者がキャッシュカードの強奪と現金の引き出しを、妙子容疑者が敏文容疑者が現金を引き出す時間を稼ぐ役割だった。暗証番号を盗み見たその日のうちに犯行に及ぶこともあれば、翌日以降に持ち越すこともあった。どちらにせよ手口は同じである。
ターゲットは常に非力なお年寄りが選ばれた。敏文容疑者が路上や駐車場などでお年寄りの鞄(キャッシュカード入り)を力任せに奪って逃走すると、すかさず妙子容疑者が親切なオバちゃんの振りをして鞄(キャッシュカード入り)を奪われたお年寄りに歩み寄り、慰め、お年寄りに代わって自身の携帯電話で警察や銀行に連絡する振りをし、その間に敏文容疑者がATMで現金を引き出していたのである。敏文容疑者は監視カメラ対策として帽子を目深にかぶっていた。
以上のごとく三位一体の連携プレーによって親子は私腹を肥やしていたわけだが、逮捕されるきっかけとなったのは敏文容疑者の油断だった。油断するとミスが出るのはどの世界でも同じこと。敏文容疑者はあろうことか、ATM内で額の汗を拭うために帽子をとってしまったのである。監視カメラに記録された映像からあえなく御用となった。