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29 「ゲロ展」に行ってきた

岐阜県下呂市に行ってきた。
下呂美術館での「ゲロ展」最終日に滑り込み。
館内はゲロ吐き自由ということで来館者たちのゲロで溢れ返っていた。
入口でマスクが販売されていたが臭気も作品の一部との考えから俺は鼻丸出しで館内へ。
そして吐いた。ほんと嘘みたいに入った瞬間に吐いてしまった。
臭気も作品の一部と考える俺にとっては良くないことなのかも知れないが一度吐いてしまうと不思議と臭気はあまり気にならなくなった。
俺はゲロ関係の展示品の数々を悠々と見て回った。
例えば「寝ゲロ」と題された作品は床に敷かれた敷布団に掛布団と枕がセッティングされ、枕の横にゲロが吐かれている作品。いつかの朝を思い出した。
「ゲロニカ」と題された作品はピカソの「ゲルニカ」と同じサイズの画布に何度も何度もゲロをぶちまけた作品。シミと残骸のモザイクは美しかった。
そしてゲロを吐き続ける「ゲロ小僧」や四つん這いになって今まさにゲロを吐こうとしている「ゲロのヴィーナス」といった彫刻作品。そのクオリティの高さに驚かされた。
また「ゲーロニカ」と題されたハーモニカとゲロのコラボ作品や「ゲロニカのハンカチーフ」と題されたハンカチとゲロのコラボ作品。思わずクスッと笑ってしまった。
さらに理科実験室のような怪しげな空間で白衣の男女が「ゲロ煮込みうどん」を作る映像作品。絶対に食いたくない。
他にもいろいろとあったのだが忘れてしまった。
濃密なゲロ空間を抜け出した俺は売店に寄った。
売店にもゲロ関係の品物が並んでいた。
「ゲロ小僧」や「ゲロのヴィーナス」の画像がプリントされたTシャツ。
「GERO」という名の香水。
ゲロにしか見えない和風ドレッシング。
テオ・アンゲロプロスの本。その他。
ゲロ三昧の美術館を出て俺は大きく深呼吸した。
いつもより空気がおいしく感じられた。
そしてゲロのない当たり前の光景に微かな退屈を覚えた。
それでも「備えあれば憂いなし」の精神で買った「GERO」のお世話になる日は一生来ないだろうとも思った。