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33 人命救助者へ感謝状を贈呈

市消防本部は二月三日、一月十五日に春日町室田で発生した住宅火災で老人を救助した三人に感謝状を贈呈しました。
感謝状を贈呈されたのは、後藤道子さん(三十八)=岸延町=、田所智恵子さん(五十五)=同=、森脇繁さん(三十四)=春日町=。
火災は十四時ごろ発生し、火災に気付いた後藤さんが消防署に通報。火災宅に寝たきりの七十四歳の男性がいることを知っていた後藤さんは、通りかかった田所さんに伝え、田所さんは近くに住む森脇さんに連絡。すぐに駆けつけた森脇さんと三人で協力し、猛火の中から男性を救助しました。
後藤さんは「当たり前のことをしただけ。田所さんと森脇さんの協力がなければ救助できなかった」と、田所さんは「有事の際は私情を挟んではいけない」と、森脇さんは「遠くから見ているだけの人がいた」と指摘しました。
森脇さんが言う「遠くから見ているだけの人」というのは、興信所で浮気・不倫の調査をする辻井真紀さん(四十三)=広野町=でした。
智恵子さんの夫の田所六郎さん(五十九)=岸延町=は、数ヶ月前から妻の「変化」を感じ取っていました。しかし自宅兼仕事場で仕事をする六郎さんは、家を留守にすることがほとんどなく、妻も同様であり、不倫を疑ってみるものの、実行可能であるとは思えませんでした。
そんな状況にあって突破口となったのは、テーブルの上に置かれた一枚のスーパーマーケットのレシートでした。レシートに印字された時刻を見て、六郎さんは絶句しました。レシートに間違いがないとすれば、妻は六郎さんと自宅の食卓で昼食を共にしている時間に、スーパーマーケットで買い物を済ませていたことになるのです。
ここに至って六郎さんは興信所に調査を依頼しました。辻井さんの登場です。辻井さんは智恵子さんを尾行しました。そして問題の一月十五日に智恵子さんの尻尾をつかまえました。
智恵子さんは空のエコバッグをぶら下げたままスーパーマーケットを素通りし、とあるマンションに入っていったのです。そして一時間後、マンションから出てきた智恵子さんのエコバッグは食料品で満たされていました。
辻井さんは報告書に「エコバッグのみならず、心も体も満たされたかのような穏やかな表情のターゲット」とのキャプションをつけて、マンションから出てきた直後の智恵子さんの写真を添付しました。
その後の智恵子さんの行動は立派なものと言えるでしょう。後藤さんに人命救助の協力を求められ、「私情」を挟むことなく救助に当たったからです。
救助された男性は、一週間後に寿命で死亡しました。
森脇さんは市消防本部からとは別に、六郎さんからも、感謝状を贈呈されました。それは買い物と心身のケアの「代行」に対して「深甚なる感謝の意を表する」ものでした。