読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

49 仕事の流儀

「漏れちゃいそう。早くして」
社長に急かされ、僕は跪き、社長の着衣に手をかけた。
差し詰め用を足す障害となるスカート、ストッキング、パンツを、足首のあたりまで下ろした。
黒い陰毛が現れ、陰毛に半ば隠れるようにして、出口が露わになった。
社長は僕にゆっくり観察する暇も与えず、便座に腰を下ろした。
僕がシャツを摘み上げると、社長は出口から尿を滴らせた。
奔放に溢れ出す一団があり、それが収束すると、レールを滑り落ちる雫となり、僕はその雫の行方を注視した。
やがて下腹部から力みが抜け、社長は「はい、おしまい」と用を足し終えたことを宣言した。
一仕事終えた社長は、両腿を便座にだらしなく預け、虚ろな視線を宙に向けた。
僕は柔らかいトイレットペーパーを引きちぎり、尿に浸された一帯を丁寧に拭った。
社長に合図し、立たせ、水を流すと、パンツを引き上げ、違和感の有無を確認し、微調整をし、ストッキング、スカートの順に同じことを繰り返した。

僕は、両腕のない社長の世話係だ。
世話係は新人の仕事であり、僕の任期はあと一月ほどで満了となる。
直接触れたい、キスしたい、舌で味わいたい、と僕は悶々としているが、仕事中はポーカーフェイスを保つよう心掛けている。
我が下半身の一部分に、著しい形状の変化が認められても、ポーカーフェイスを保つこと。
それが僕の、仕事の流儀だ。
これは、女性のヌードを撮影する異性愛者の男性カメラマンにも、相通ずるものがあるのではないだろうか?

ところで先日、先輩のひとりから、社長はかなりお前を気に入っているぞ、と言われた。
先輩はその根拠として、印象論ではあるがと前置きした上で、社長のトイレの回数が歴任者と比較して多い気がする点を挙げた。
そして、僕が世話係になってから、気性の荒かった社長が丸くなった、とも付け加えた。
前者についてはなんとも言えないが、後者については僕の実感とも一致しており、世話係になった当初はよく怒られていたものだが、僕が仕事に慣れるに従い、社長は段々とおとなしくなり、そして最近の社長は、僕の前ではしおらしいくらいなのだった。
本当のところ、社長は僕のことをどう思っているのだろうか?
ただ単に、世話係としか思っていないのだろうか?